19XX年8月10日。
澄んだ青天の虚空に、乱雑に落書きしたような白い雲。
そんな真夏の空の下。ふと風が頬を撫で、まるで文書を奪い去ったような感覚。
僕は夢を見ていたのだろうか―——
パワナンバー:11400 40692 00876
真夏の空の夢(本名:禅 真夏)
経歴:京都帝国大学-第七師団(たぶん)-サハリン・ユスバレス(樺太の野球チーム)-松竹ロビンス
この世界は青かった。
まるで夢のように。あれはおぼろげな泡沫だったのだろうか。
僕、禅真夏は、そんな確信をもった。
これは・・・
「革命だああああ!!!!!」
禅 真夏(ぜん まなつ=トエルサマー)
職業:パンク系カンフー伝道師
趣味:パンクロック、カンフー、野球、ゲバルト
特技:ドラム破壊演奏、オルグ
好きな言葉:造反有理、革命無罪
嫌いなもの:資本主義、アメリカ
戦後、ソヴィエト連邦の捕虜となった真夏(トエルサマー)くん。
毎日の如く、ソ連兵にスターリニズムを叩きこまれた結果、真夏くんの脳内が沸騰覚醒。紅(アカ)に染まった副作用として、パンクロックとカンフーの才能に目覚めてしまった。
業を煮やしたソ連の上官は、彼をサハリンあたりに強制送還。意味もなく有象無象の広野(ガイア)に投げ出された真夏くんは、怒りの余りに地元の樺太アイヌやツングースたちと野球チームを結成。サンフランシスコ平和条約をソ連が調印しない雰囲気を掴み取った隙に、無断でサハリンを野球独立国家として勝手に樹立(もちろん国連にも認められていない)
アイヌが夢見た独立国家誕生の瞬間であった。
ソ連と米帝に対抗せまいと、軍事力増強政策として、パンクとカンフーを必須科目とし、奴ら列強諸国を震撼させた。
なんだかんだあって松竹ロビンスに移籍したトエルサマーくんは、夜中にパンクロックで国会議事堂に乗り込んだり、ゲバ棒を持ってバッターボックスに入るなど、意味不明な言動を繰り返したのが祟り、2年でクビになった。が、今でもトエルサマー伝説は、サハリンの空に神々しく残っている・・・らしい。
まるで夢を見ていたかのように。
ひとこと
(オチは)ないです。